食料と農業の5指標を順に見る
栄養不足人口割合・穀物収量・農地面積割合・食料生産指数・農業就業者割合の5つを、1指標ずつ切り替えて表示します。いずれもWorld Bank WDIの公表値で、各フレームは順位の棒グラフ、日本の値と順位、推移の折れ線で構成されています。
| 栄養不足人口割合 | — | 栄養不足人口割合の世界値は8.5%(2023年) |
| 穀物収量 | 23 | 日本の穀物収量は6245.1kg/ha、181か国中23位(2024年) |
| 農地面積割合 | 172 | 日本の農地面積割合は12.6368%、210か国中172位(2023年) |
| 食料生産指数 | 142 | 日本の食料生産指数は100.27、195か国中142位(2022年) |
| 農業就業者割合 | 39 | 日本の農業就業者割合は2.8137%、187か国中39位(2025年) |
各フレームは単位も対象国数も異なるため、指標をまたいで数値や順位をそのまま比べることはできません。まず単位と対象国数を確かめ、同じ指標の中での位置と推移を読んでください。
要点
食料と農業をめぐる指標を並べると、日本は「不足はほぼ見えないが、土地と担い手は細い」という組み合わせで立っています。栄養不足人口割合(2023年)は対象169か国のうち上位が推計上の下限である2.5%に横並びとなっており、日本の個別値は今回のデータに含まれないため断定はできませんが、同じ2.5%で並ぶ国々と近い水準にあると見るのが自然です。一方で穀物収量(2024年)は6245.1kg/haで181か国中23位、世界平均の4243.5kg/haを大きく上回ります。ただし農地面積割合(2023年)は12.6368%で210か国中172位、農業就業者割合(2025年)は2.8137%と、面積と人の面では小さな数字が並びます。
出典:World Bank, World Development Indicators(SN.ITK.DEFC.ZS / AG.YLD.CREL.KG / AG.LND.AGRI.ZS / SL.AGR.EMPL.ZS)
中心指標の最新値
先頭の指標である栄養不足人口割合は、2023年時点で対象169か国、世界値は8.5%です。上位はアルジェリア、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チリと12か国以上が一律2.5%で並びます。この2.5%は推計上の下限値で、実際にはそれ未満であっても2.5%と表記される仕組みです。世界値8.5%と比べると、下限に並ぶ国々はその3分の1以下にあたります。なお日本の個別値は今回のデータに含まれていないため、値も順位も示すことはできません。
出典:World Bank, World Development Indicators(SN.ITK.DEFC.ZS)
上位と下位の顔ぶれ
栄養不足人口割合の下位には、ハイチ54.2%(169位)、ソマリア53.2%(168位)、北朝鮮47.0%(167位)、マダガスカル39.5%、シリア39.0%、コンゴ民主共和国(キンシャサ)38.5%が並びます。紛争や災害の影響を受けた国が集まる傾向が読み取れます。
穀物収量では、上位がオマーン29147.0kg/ha、アラブ首長国連邦23306.5kg/ha、カタール18274.6kg/haと湾岸諸国で、いずれも栽培面積が小さく灌漑や施設栽培に偏るための高い単収と考えられます。下位はカーボベルデ40.3kg/ha、ナミビア451.2kg/ha、ソマリア503.5kg/haです。日本は6245.1kg/ha(23位)で明確に上位寄りです。
農地面積割合ではコートジボワール86.4758%、トルクメニスタン84.2216%、ブルンジ83.8866%、ウルグアイ81.3541%が上位、下位はスリナム0.445%、グリーンランド0.5923%、シンガポール0.9192%です。日本は12.6368%で172位と下位寄りにあたります。
出典:World Bank, World Development Indicators(SN.ITK.DEFC.ZS / AG.YLD.CREL.KG / AG.LND.AGRI.ZS)
この10年でどう変わったか
推移データがあるのは穀物収量、農地面積割合、食料生産指数、農業就業者割合の4指標です(栄養不足人口割合には推移データがないためここでは扱いません)。
穀物収量は2012年6248.5kg/haから2023年6245.1kg/haまでほぼ横ばいで、期間中の最高は2021年の6417.0kg/ha、最低は2018年の6132.3kg/haでした。農地面積割合は2012年13.4568%から2023年12.6368%へ12年続けて下がり、およそ0.82ポイント減っています。食料生産指数(2014-2016年=100)は2011年94.97から2013年100.92まで上がり、その後は99〜100台で推移して2022年は100.27でした。農業就業者割合は2014年3.8131%から2025年2.8137%へ、約1ポイント下がっています。
出典:World Bank, World Development Indicators(AG.YLD.CREL.KG / AG.LND.AGRI.ZS / AG.PRD.FOOD.XD / SL.AGR.EMPL.ZS)
近い国とくらべる
穀物収量では、日本6245.1kg/ha(23位)に対しアメリカ8413.5kg/ha(10位)が約2168kg/ha多く、英国7137.9kg/ha(14位)、ドイツ7007.3kg/ha(15位)、韓国6615.2kg/ha(18位)、中国6418.1kg/ha(21位)が上に位置します。フランス6280.8kg/ha(22位)は日本とほぼ同水準です。
農地面積割合では差がもっと大きく、英国70.3073%(20位)、中国55.4326%(47位)、フランス52.5044%(57位)、ドイツ47.4659%(68位)、アメリカ46.083%(74位)に対し、日本は12.6368%(172位)。近い水準にあるのは韓国16.0656%(164位)くらいです。
農業就業者割合では日本2.8137%(39位)で、英国0.8513%(7位)、ドイツ1.071%(11位)、アメリカ1.5249%(18位)、フランス2.3341%(33位)より高く、韓国5.1038%(56位)や中国21.6769%(107位)より低い位置です。食料生産指数は日本100.27(142位)、アメリカ100.86(130位)、英国101.24(125位)、韓国101.21(126位)とほぼ並び、中国111.75(75位)が目立ちます。
出典:World Bank, World Development Indicators(AG.YLD.CREL.KG / AG.LND.AGRI.ZS / SL.AGR.EMPL.ZS / AG.PRD.FOOD.XD)
この数字の読み方
栄養不足人口割合は2.5%が推計上の下限で、1位アルジェリアから12位チリまですべて同値です。上位の順位差に実質的な意味は乏しく、順番を優劣として読むことはできません。
穀物収量は穀物のみの単位面積あたり収量で、作付け品目の構成、二毛作、灌漑条件によって大きく変わります。食料自給率や農業全体の効率を表す数値ではありません。農地面積割合は国土に占める農地(耕地・永年作物地・牧草地)の比率で、山地の多寡など地形条件に強く左右されるため、多い/少ないがそのまま良し悪しを示すものではありません。食料生産指数は2014-2016年=100とする自国内の比較指数で、国どうしの生産量の大小を比べる用途には使えません。農業就業者割合はILOのモデル推計値です。
いずれもWorld Bank WDIによりますが、最新年は指標ごとに2022年から2025年までずれており、更新も年次で遅れがあります。5つの指標を同じ年の断面として横並びに読むことは避けたほうがよいでしょう。
出典:World Bank, World Development Indicators(SN.ITK.DEFC.ZS / AG.YLD.CREL.KG / AG.LND.AGRI.ZS / AG.PRD.FOOD.XD / SL.AGR.EMPL.ZS)
栄養不足人口割合を地図とグラフで見る
表の上端は2.5%で同値が続き、下端はハイチ54.2%、ソマリア53.2%、北朝鮮47.0%です。日本の値がないため、この表に日本の行は表示されません。
棒の長さは上端の2.5%と下端の54.2%で20倍以上開き、差の大きさは主に下位側で生まれています。この指標には推移データがありません。
国を選んでくらべる
穀物収量
上位はオマーン29147.0kg/ha、アラブ首長国連邦23306.5kg/haと栽培面積の小さい湾岸諸国、下端はカーボベルデ40.3kg/haです。日本は23位で上位寄りに位置します。
折れ線は2012年6248.5kg/haから2023年6245.1kg/haまでほぼ平らで、2021年の6417.0kg/haが期間中の山です。棒グラフの開きは上位の突出によるもので、日本と中位国の差は小さめです。
農地面積割合
上位はコートジボワール86.4758%、トルクメニスタン84.2216%、下端はスリナム0.445%、グリーンランド0.5923%です。日本は172位と下位寄りにあります。
折れ線は2012年13.4568%から2023年12.6368%へ12年続けて下がり、約0.82ポイント縮んでいます。英国70.3073%との差は棒の長さで5倍以上に見えます。
食料生産指数
上位はセネガル177.49、サウジアラビア172.66で、いずれも自国の2014-2016年比の伸びを示します。下端はガンビア71.08、日本は142位で100付近です。
折れ線は2011年94.97から2013年100.92へ上がった後、99〜100台で横ばいです。棒は100前後に多くの国が集まり、上下の端だけが離れています。
農業就業者割合
上位はシンガポール0.0954%、香港0.1824%、英国0.8513%、下端はブルンジ85.3411%、モザンビーク73.0061%です。日本は39位で上位寄りです。
折れ線は2014年3.8131%から2025年2.8137%へ約1ポイント下がり続けています。棒グラフでは日本と中国21.6769%の差が大きく開いて見えます。